1. 明らかなシフト・シグナルとは

ディフェンスにおいて、1トリック目に、3番手の人が使うシグナル。

大きめのカードは、オープニング・リーダに同一スーツの継続を望んでいることを伝えるだけでなく、3番手の人から見て、ダミーの弱いスーツへのシフト(明らかなシフト)を望んでいないことを伝えている。小さいカードは、「明らかなシフトをしてもいいよ」と言っている。ただし、3番手の人がアンユージュアル・カードをプレーしたときは、明らかなシフト・スーツでないスーツへのシフトをして欲しいことを伝えている。

このシグナルは、要求ではなく、情報提供であることを理解しておく必要がある。

 

2. 3つの原則

1)   1トリック目に、明らかなシフトのシグナルを出す。

2)   それ以降は、フォローでスーツ・プリファランスのシグナルを出す。

3)   最初のディスカードは、LAVINTHALディスカードを使う。

これら3つのシグナルを原則として使うが、次の5つ特定ケースには、カウント・シグナルを使う。

イ)  A-Kのリードのとき、ラフするためにダブルトンを示す。

ロ) 6の台のコントラクトで、A-KAまたはK-QKのリードのとき。

ハ) NTコントラクトで、Aのリードのとき。

ニ) AまたはKを持っているパートナーが、ホールドアップを正しくおこなうのを手助けするとき。

ホ)    キャッシュ・アウト状況で、絵札の位置がわかっているとき

 

3. 明らかなシフト・スーツの決め方

・ 順番

つぎの順番で最初に該当したスーツが、明らかなシフト・スーツになる。

1)    オープニング・リーダがビッドしたスーツ(そのスーツ以外のリードのとき)

2)    オープニング・リーダがスーツ・ビッドをしていないならば、オープニング・リーダのパートナーがビッドしたスーツ(そのスーツ以外のリードのとき)

3)    ディフェンス側の2人ともスーツ・ビッドをしたが、オープニング・リードがビッドされていないスーツをリードした(めったに無いけど)とき、または、ディフェンス側がスーツ・ビッドをしていないときは、つぎの順番で最初に該当したスーツ

    切り札コントラクトのとき (ダミーのスーツのうち)

イ)  絵札1枚以下の3枚スーツ (絵札はA,K,Q,Jまたは10

ロ)  シングルトンまたはボイド以外のより短いサイド・スーツ

ハ) 同じ枚数のときは、より弱いスーツ

ニ)  どちらかはっきりしないときは、下位のスーツ

    NTコントラクトのとき

イ)  ダミーの最も短いスーツ (強さは無関係)

・ 決め方にヒント

イ)  リードされたスーツではありえない。

ロ)  切り札では決してない。

ハ) AKQ、またはAKQJ10のうち4つを持つダミーのスーツではありえない。

ニ)  切り札コントラクトのときは、ダミーのシングルトンまたはボイドのスーツではありえない。ただし、NTコントラクトのときはこの限りではない。

ホ)  ディクレアラーのナチュラル・ビッド・スーツではありえない。

 

4. スーツ・フォロー時のスーツ・プリファランスの仕方

1)   ハイカードは上位のスーツ、ローカードは下位のスーツへのプリファランスをあらわす

2)   切り札狩りのとき、ハイローとフォローすると上位のスーツ、ローハイは下位のスーツへのプリファランスをあらわす

3)   サイド・スーツのフォローのとき、ハイカードは上位のスーツ、ローカードは下位のスーツへのプリファランスをあらわす

 

注1)       3つのスーツから選ばなければならないときは、通常ダミーの一番強いスーツを除外し、残った2つのスーツをスーツ・プリファランスの対象にする。

注2)       スーツは2つに決まったが、はっきりとプリファランスができない(どちらが良いか言えない)ときは、リードされて被害の少ないと思われるほうのスーツにプリファランスする。

注3)       スーツ・プリファランス・シグナル補足

 

5. まぎれの生じるケース

イ)  あなたのA-Kのリードにパートナーがダブルトンを示し、あなたはどのスーツにシフトしていいかわからないことがある。

ロ)  パートナーがA-Kからリードし、あなたがくず3枚を持っているとき。

ハ) パートナーがK-Qからリードし、ダミーがくず3枚(10xxも含む)かAxxのときは、単純な態度表明(アティチュード)シグナルを使う (ただし、切り札コントラクトのときのみ)。このため、A-Kは常にAからリードすることにする。

ニ)  切り札の絵札がぶつかってしまうことがありうる。

ホ)  あなたのエントリが切り札にあるとき。

ヘ)  自分で解決できる方法があるのにシグナルを出してパートナーに頼ること。

ト)   あなたがリードするスーツでパートナーをだますこと。例えば、K984で8をリードしたりすること。

チ)  スーツ・プリファランス・シグナルと明らかなシフト・シグナルの取り違い。どの場合にどちらを使うかはっきりさせておく必要がある。両方は同時に使えない。

リ)   トランスファー・ビッドを使ったときは、トランスファーした人がトランスファー後のスーツをナチュラルにビッドしたことにする。

ヌ)  2スーツを示すビッドをしたあとでディフェンスにまわったときはどうするか。その2つのスーツのどちらかがリードされたときは、もう一方のスーツが明らかなシフトスーツになる。どちらのスーツもリードされないときは、なにもビッドしなかったときと同じとする。

ル) パートナーにラフさせようとしたときで、Jを打ってきたらそれは常に下位のスーツへのスーツ・プリファランスとする。

ヲ)   ダミーに、ルールにあてはまるあきらかなシフト・スーツが存在しないときは、態度表明シグナルを使う。

 

6. より細かい決め

1)   明らかなシフト・スーツへのシフトをエンカレッジするカードの組み合わせ

明らかなシフト・スーツ(ダミー)

明らかなシフト・スーツ(3番手)

Jxx以下

A or K (NTのときQ)

Qxx

A or K

Kxx

A or Q

Axx

K or Q

2)   切り札コントラクトのときで、明らかなシフト・スーツ(ダミー)がAxxまたはKxxのときQがあればエンカレッジしてよい。しかし、そのあとの切り札狩りでのファローで、ローハイはQのみを示す。そこでハイローすると、AまたはKを保証する。

3)   切り札コントラクトのときで、明らかなシフト・スーツ(ダミー)がJxx以下のときQがあっても、エンカレッジしない。しかし、そのあとの切り札狩りでのフォローで、ハイローはQを示す。

注) 切り札コントラクとのときで、ダミーの明らかなシフト・スーツがAxxまたはKxxまたはJxx以下で、オープニング・リーダのパートナーがQを持っている可能性のあるとき、切り札狩りでのフォローは、明らかなシフト・スーツの追加情報である。